相手に言いづらいことを伝えないといけない。
そんなシチュエーションってありますよね。
家庭で夫や奥さんに話したいこと、なおしてほしいこ、気になること。反抗期の子供に対しても言いたいこと。
仕事では部下に対して言いたいことがあるけどうまく叱れない。叱ったら陰口たたかれたり排除されることが怖い。パワハラしてくる上司、上司に対して注意したい、気を付けてほしいこと、自分の意見を聞いてほしい。
海外で生活したこともあるので余計日本の社会の中で言いたいことを言いづらい文化というのを根強く感じていて、私の仕事の悩みの大半は人間関係だったりするわけです。
今回はそんなコミュニケーションに気を使わないといけない私たちが、どうやって言いづらいこと、特にネガティブに受け取られることを伝えるべきか?という考えにアサーティブコミュニケーションという考え方がありますので、生活のヒントになればと思い少し紹介させていただきます。
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コミュニケーションに性格はほぼ関係ない
自分は社交的ではない、内気だ、シャイだ、対人関係が苦手だ。
私自身すべてに当てはまります。昔はかなり社交的でしたが10年ほど前に病んだことがあり回復はして今は普通にしていますが、あまり初対面や対人関係が得意ではなくなってしまいました。
それでも仕事はできていますし、コーピングといって自分とうまく付き合っていくことを学んで社会生活を送れています。
私ほどではないかもしれませんが、少なからず日本人の多くは自分の意見を伝えることが苦手です。
海外に行くと自分の意見を言わない方が信じられないという感じの反応をされますが、ここは日本ですし私たちの悩みを彼らがわかってくれるわけではないので「世界に比べて日本だどうだ」とかそういった聞き飽きた話はナシにしたいと思います。
コミュニケーションはスキル。
そう考えてみるべきです。性格は人それぞれということはコミュニケーションの取り方もそれぞれです。コミュニケーションの取り方も色々な方法があるということを知って自分にあったコミュニケーションの取り方をとっていけばいいのです。
それで合わない人は去っていきますし、合う人が残ります。それでいいと思うのがコミュニケーションに対して楽になる最初のステップだといえます。
そうはいっても生きていくのに必要な人間関係
全くだれともかかわらずに生きていけたら。そう思う人もいるかもしれませんが、人間関係は発生してしまいますし、できることなら「最低限」うまくやっていきたいと思うはずです。
家族であったり、仕事をする中で必要な人間関係が発生したとき、当然考え方や利害関係が違うので衝突も起きます。あるいは衝突を恐れて会話を回避していたら仕事が進まなかったりトラブルになる可能性も高いといえます。
自分が我慢すればいい。
そう思って乗り切ることも多々ありますが、やはり経験上それでは解決には向かわず、嵐が過ぎ去るのを待つ程度で何も解決していない場合が多いです。
相手に注意するというのはとても難しく、その後の人間関係をぎくしゃくさせてしまいますし、自分が思っていること、特に相手に直してほしいこと、相手がやりたくないと思っていることをやってもらうのは非常に難しいことです。
相手を尊重しながら主張する
そこで一つ参考になる考えがアサーティブコミュニケーションです。
アサーティブコミュニケーションとは「相手を尊重しながら主張する」というコミュニケーションスタイルのことで行動療法などのセラピーで1950年代に生まれた考え方です。
要するに相手には言いたいことを主張するけど、相手のことも最大限尊重するという考え方です。
そのポイントは以下の3点です。
- 自分の望みや提案をちゃんと「言葉」で表現する。
- 相手が耳が痛いことをはっきり伝える。
- その場の勝ち負けではなく中長期的な関係を重視する。
- 対立するときも相手を攻撃しない
- 自分の感情をちゃんと開示する相手の言い分を理解して対応する。
- 傾聴と主張のバランスをとって会話のキャッチボールを意識する。
相手のことは尊重し、否定はしません。その上で自分の主張をはっきりと伝えるというのがアサーティブコミュニケーションです。
「そうはいっても・・・」「そんなうまくいかないでしょ」
というのが普通の反応ですし、実際にうまくいかないことも多いですが、このスタイルでコミュニケーションをとると、相手の態度がまるっきり変わるのがわかるので、ぜひ試していただきたいと思っています。
このポイントの中で特に重要な「主張をする」という部分と、「相手の話を聞くという傾聴力」の部分について少し補足をしたいと思います。
主張するときに意識すること
事実と問題点を”具体的に”説明する
まず大切なのは、相手に注意したいこと、なおしてほしいことを事実(ファクト)で伝えるということです。
相手の人格を傷つけるような言い方は決してしてはいけません。あくまで事実、例えば「なおしてほしいその事」「注意したい言動」など特定の事実をちゃんと相手に伝えましょう。
また、それを直さないことで発生している「問題点」についても具体的につたえることが大切。
「あなたがXXをしている点についてYYという具体的な問題が発生している」と伝えましょう。
この問題点も複数あるとさらによいとされています。
例えばYYがこの間おきた。おとといはZZがおきてしまったといった具合に複数あるとそのなおしてほしい、注意したい「事実」がよりクリアになります。
自分の感情をちゃんと伝える
次にとても大切なのが自分の気持ちをちゃんと伝えるということで。
あなたと私の関係が大切です。
あなたがXXなことでYYやZZが起きた。それによって私はとても苦しい思いがしている。
このように感情をちゃんと伝えましょう。
だいたい私たちは「感情的になってはいけない」と教えられて育っていますので感情を表すのが苦手です。「感情的」にはなってはいけないのかもしれませんが、「感情を表現すること」はちゃんと行う必要があります。
私は眠れなかった。気になって苦しかった。他のことができなかった。頭が痛くなった。涙が出た。苦しくてつらかった。
こういった自分の感情をちゃんと言葉で伝えましょう。その場で態度に出すのは相手にはちょっと重いので、言葉でどう思ったか伝えてみましょう。
提案、要望を”具体的”にする
最後に大切なのは「どうしてほしいか」を提案することです。
これは自分が相手にしてほしいことをちゃんと伝えるという工程としてとても大切です。
受け取った相手も「自分がXXしてあなたがYと思った」だけ聞いてしまうと「だからなんなの?」となりますのでその点をクリアにするために「なおしてほしい」「もうやらないでほしい」ということをちゃんと伝えましょう。
ここまでが主張をすることに関するポイントです。
次はここから相手の反論が始まるわけですが、それを聞くときに大切なポイントをお伝えします。
傾聴するときに意識すること
相手の事情を聴く
自分が上記のとおりちゃんと「主張」できたとしましょう。事実を提示して、問題点も提示、自分の感情もちゃんと示して、その上で相手に何をしてほしいかも伝えました。
そうすると相手からの反論が始まるわけです。
「でも」「はあ?」「関係ないじゃん」「うざい」
そういった反論はありますよね。
そこで大切なのが「相手を尊重する」というスタンスです。
自分が相手の話を聞くというスタンスを曲げないことです。相手が一通り反論が終わるのを待ってみましょう。
だいたいこういったときには聞くのを我慢できなくて途中で反論をさえぎってさらにかぶせて話してしまったりするわけですが、そこはぐっとこらえて相手の話を聞きましょう。
本当にここが大切です。
最後まで聞いてみましょう。
最初は頭に血が上って「カー」となった相手もこちらがジッと話を相槌をうって「聞いてますよ」というスタンスで聞いていたら明らかに落ち着いてくることが大半です。
だれもが聞いてほしいのです。
こちらがジッと聞いていると、自分の主張がおかしいことに気づいたり冷静になれます。
さらにそこに共感してあげましょう。
「そっか」「そういう考えだったんだね」「なるほど」「そうなんだ」「確かに」「大変だね」
そういうスタンスで会話してくる相手にずっと怒り続けるのは困難です。とにかく相手の事情を聴きましょう。我慢です。我慢。
ただ黙って聞くのではなくて「ちゃんと聞いてますよ」という態度で聞いてあげましょう。うなずくでもいいし、相手を受け止める目線(にらんじゃだだめですよ)を投げかけるなど工夫をしてください。
相手が何に困っているか考える
さらに一歩進めて考えてみて「相手が何に困っているのか」「なんでそれをなおせないのか、やろうとしないのか」考えてみてください。
相手を尊重するスタンスをここまで貫けたわけですので、相手が自分の主張を飲んでくれやすいように一歩相手の方に降りて一緒に考えてあげてください。
「そっか。気持ちはわかります。そういうことありますよね。それだと私がお願いしたいことは出来ないという感じになりますよね。じゃあ私のお願いも厳しすぎるので週1回だったらできそうですか?私も手伝いますので」といった形で主張を和らげてみてください。
ハードルを低くしてあげて取り組めるように下りてあげてください。
これは勝ち負けではありません。お互いの中長期的な長い関係を大切にするということを前提にしていますので、あなたの主張が完全に100%受け入れられることはありません。
それでもこうやって会話をしていくことで次のステップはもう少し高い要求が通るようになるわけです。
100%思い通りにならなくても
「いまはここまでこれたらいいかな」「話しあう前よりはだいぶいい」
そう思える心の余裕をもって相手に対して改善を促していけばいいと思って取り組んでいくしかありません。
最後は「さわやかに」「自分から」終わる
今回、相手に対して自分の主張を感情も示して伝えたわけです。それにたいして相手の反応があって、それをベースにお互い相手を尊重して話し合ったというプロセスを踏みました。
この話し合いをはじめたのはあなたですので、自分から会話をうまく終わることが大切です。
さわやかに「時間をありがとう!」といって会話を終わりましょう。
最後が肝心です。
例え注意された相手がいやな顔をしていたり、ブスっとした表情をしていたりしてもさわやかに会話を終わりましょう。
一度で解決するのは難しいですが少しずつでいいんです。
ちょっとずつ変わっていきますので。
Keiky.