自分の人生ってなんのためにあるんだろう。毎日つらいし、いいことないし、苦しい。仕事でもぱっとしないけどそれなりに努力はしているつもり。それでもこれが本当に自分がやりたいことではない気がしてため息を空に吐き出す。
家族もいるし楽しい時間もある。それでも「これがベスト、これでいいんだ」と頭で自分を説得している時もある。何も制約が無かったら。お金も時間も家族も何も制約がなかったら自分は何をしているだろうということを考える。色々できるような気もするけど結局は大したことに時間を使えないような気がする。
こんなことを考える時って誰しもあるものです。人の方が良い人生を歩んでいるような気がしてしまって、本来人と比べるものではないのに比べてしまったり、人の方が幸せそうにみえたり自分がダメ人間だと思えてしまったり。
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■ 本当の自分というのはあるのでしょうか
自分がやりたかったのは今の状態なのか。
なんで自分は羽ばたけないのか。なんで自分はダメ人間なのか。
すべて仮面をかぶった自分のような気がしてしまう。
そんな仮面をかぶっていない本当の自分というのはあるのだろうか。
何事からも自由だったら自分はどんな人生を歩んでいるのだろうか。「もし自由だったらこんなことがやりたい」と思える人はとても少ないはずです。とても明確な人はよっぽどそれができない呪縛が明確な場合だけです。
対外の人は今の自分と向き合い、今できる努力をせず、できもしないことを望んでいる場合が大半です。これを「努力が足りない」というひとことで片付けることは簡単ですが、そんなに簡単なことではありません。
みんなもがき、苦しみ、「これでいいのだろうか」と悩み、孤独を感じながら生きているのが普通です。幸せそうに見得たり、リア充に見える他の人も同じです。あなたにとってそう見えるだけで、その人も苦しみながら生きているわけです。
自分がやりたいこと探しも結構ですが、そんなものは本当に存在するのでしょうか。
■ 「主人公」とは禅の言葉で本来の自分という意味
物語やゲームの主人公という時に「主人公(しゅじんこう)」という言葉を使うと思いますが、これは実は禅の言葉です。
主人公(しゅじんこう)=本来の自分の姿そのもの
この主人公という禅の言葉は本来の自分の姿そのものという意味の禅の言葉です。本来の自分の姿が主人公だとしたら、私たちの人生は私たち自身が歩んでいる毎日のことを指します。楽しい日もあればつらく苦しい日もありますが、すべてが自分の本来の姿そのものということになります。
もし今の毎日が自分の姿そのものだとしたらあまりにつらい。そう思う人も多いことでしょう。こんな顔で生まれて、こんな性格で生まれて、こんな家族とこんな仕事に囲まれているのが本来の自分だといわれたら、単純に生きることがつらいですよね。
絶望の中にいる人に「今のあなたの日々が本来の自分だよ」といわれては逃げ場はありません。それこそ生きている価値がないほどに絶望を感じてしまう人も多いはずです。私もそんな絶望の中で送ってきた日々があり、今でも時々発狂しそうになったり「もういやだ」と思って泣き崩れたくなる時はあります。
そんな人にとって今のあなたの姿がすべてというのはあまりにつらく、これは禅の言葉の本当に意味するところではありません。
■ 本来の自分に出会うための「もがき」こそわが人生
禅の考えでは「主人公」というのは本来の自分の姿そのものという意味ではありますが、それをそのまま受け入れるということではありません。とらえ方がちょっと違っています。
禅では、本来の自分に出会うための修行こそが日々の人生という考えが根本にあります。今あるあなたの状態が本来の自分ということではなく、本来の自分に出会うために修行していくのがあなたの人生だというとらえ方をしています。
私たちはいずれ死にます。その事実に反発することはできません。毎日毎日死に向かって歩いているわけですが、今の自分たちの状態は「今の自分の姿」ではありますが、「常に今の状態があなたの姿そのもの」とういことで固定されているわけではないのです。
私たちは「悩み苦しみながら自分に問い続けることで少しずつ本来の自分に近づいている」と考えるのです。いろいろなものに包まれた自分の魂はどんなものなのか。それを探すのが私たちの生きている日々ということが言えます。
■ 自分の心と体を「ちゃんと感じる」
自分について悩む時というのは必ずあります。
はたしてこれでいいのかと。
そんな時、頭の中で色々な邪念を振り切って考えないようにしたり、自分に思い込ませたりするのは自然ではありません。これは見たくないものを見ない、考えたくないから考えないという姿勢であり、自分と向き合っていることにはなりません。
悩んでいる自分、色々と考えてしまう時間を大切にして、その悩んでいる自分をちゃんと感じることが第一です。
自分の人生を悩むというのは、自分の人生にちゃんと向き合っているということでもあります。ちゃんと「今」に集中して、自分に向かっていく時間を大切にしていくしかありません。
今の自分を認めてあげる。悩み苦しんでいる自分も愛してあげる。きっと道は開けると信じて今の自分をそのまま受け入れる。そんな毎日を積み重ねていけたら、「本来の自分」というものに徐々に近づいているはずです。
悩み、苦しんでいるほど、自分と向き合っていて本来の自分に近づいている。そう考えて今に集中して生きることが大切です。
そして今できることをやる。今やりたいことをやる。未来はわかりません。壮大なことを考えたり妄想しても私たちが生きているのは今しかありません。今悩んでいる自分を愛して、自分の呼吸、感情すべてちゃんと感じて受け入れること。
そこからまずはじめてみましょう。
私たちは全員、自分という人生の主人公なのですから。
Keiky.