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会社を辞めたくなったら「日本企業の良さ」について一度考えてみよう

もうやってらんない。

会社を辞めたい。

そう思うことというのは会社員をやっていると何度も訪れるものです。会社組織に対する不満だったり、上司に対する不満など、志が高い人ほど現実とのギャップに苦しみ会社を辞めたいと思うことが多いものです。

そんな時に外資に行くべきかとか、このまま今の日本企業で働いた方がいいのか、日本企業でも別の会社に転職すべきかということで悩むものです。今の会社で蓄積したものを失う怖さと、新しいものにトライしたいという2つの気持ちの間で必ず迷って揺れ動きます。

そんなときに「日本企業の良さ」について考えてみて今後のキャリを描く上での一つのヒントにすることができるので、今日はそんな日本企業の良さに関する有名な研究の話について書きたいと思います。

あまり一般的な転職サイトや書籍にはない切り口で少し考えてみたいと思います。

Contents

■ 日本企業の良さを知ることでキャリアデザインに活かす。

内容に入る前に、日本企業の良さを振り返ることが自分のキャリアデザインに活かせると書きましたがその意味について少し解説したいと思います。

今日本企業に働いていて、いやになっているとしたら、それは日本企業全体がダメだということにはならないはずです。今の会社が嫌だから外資系に転職するしかないと思うのはやや飛躍しています。

なので、今日本企業で働いているけど、私が働いている日本企業は世界的に見て日本企業の良さを備えているのだろうか?ということを一度冷静に考えてみて、そういった良さがなければ他の日本企業に行くことも選択肢ですし外資系にいくことも選択肢として考えます。

今の会社が日本企業の良い面があるということが分かれば、それを捨てて外資系にいくべきか、その良さを改めて感じて今の会社で働き続けるということも選択肢に入ってくるはずです。

では逆に今外資系に働いている人に対してですが、日本企業の良さ改めて考えてみること、外資系から外資系に転職するのではなく、今度は日本企業で働いてもいいかもしれないと思えるかもしれません。

このように、日本企業の良さについて一度考えてみることで、自分が今度どういったキャリアをどういった会社で築いていきたいかということを考える上で一つのヒントになることをわかっていただけたかと思います。

■ 日本企業の良さとはなんだろう

それではここから日本企業の良さについてとても参考になる研究がああるということをご紹介します。

少し古い研究なのですが、産業政策のプロの経産省の役人である新原浩朗さんという方が書かれた「日本の優秀企業研究」という本をご紹介したいと思います。

是非原文を読んでいただきたいのですが、新原さんはこの本の中で日本企業の良さは「自分たちがわかる事業をやたら広げずに愚直にまじめに自分たちの頭できちんと考え抜き情熱を持って取り組んでいる企業」と書いていらっしゃいます。

私も完全に同感でして、普段海外とたくさん仕事をしている中で感じる日本企業の良さというのはまさにこういったところにあると感じています。

一方で果たしてどれだけの日本企業がこれを実現できているでしょうか。変に欧米化を取り入れすぎたり、逆に今までの伝統や踏襲してきたやり方に固執して日本企業の本来の良さを忘れて待っている企業が本当に多いのではないかと思っています。

こういった「日本って良い!」というようなことを語ると、一歩間違えると井の中の蛙状態で、「自分たちはいかにすごいか」ということに考えがすり替わってしまう危険性が常にあります。

他社や他国と比較することもなく、「日本はすごい」「日本は誇れる技術がある」といって妄信してしまう状態に陥るとますます危険で、日本企業は概してそうなりやすい面があります。

冷静に日本の良さってなんだろう?ということを考えて、それを自分の会社が持ち合わせてるか、これからもその良さを活かせるか、逆にそういった良さが無く見限った方が良いのかといった視点で自分の会社を見てみることは大切です。

■ 日本企業の良さを活かせているかの点検してみよう

新原さんの上記の日本企業の良さというのはいくつか具体的な行動に現れると著書で書いていらっしゃいます。

日本の優秀な企業にはどういった日本企業の特徴的が強みがあるかということを細かく分析されています。例えばですが、以下のような点を日本の優秀な企業の特徴として挙げられています。私なりの解釈を加えて書かせていただきます。

1)わからないことを分けられること

自分が分からないことに投資をしなかったり、意思決定に慎重であるということが特徴として挙げられます。これはリスク管理の面でも言えることですが、分からないことに対して何も考えずに行動する危険性が低いことが挙げられます。スピードが遅いというようなことに直結してしまうと日本企業のだめさになってしまいますが、ちゃんと慎重に物事を考えられるというのは日本企業の特徴と言えます。良い面もあるということです。

2)自分の頭で考えて考え抜きこと

あまりアドバイザーやコンサルに頼らず自分で意思決定をしている企業が多いといえます。そういった外部のサービスを使うことはありますが、あくまで参考としてメインシナリオにはしない会社も多く、自分たちで中長期的な将来を描きながら意思決定をしている企業が日本の良さを生かしている企業ともいえます。そういった考え抜くことができるという日本企業の良さを活かせていないとしたらその会社は変わる必要があるか、自分自信がその会社から去った方が良胃ということが言えるかもしれません。

3)客観的に眺め、不合理な点を見つけられること

優秀な日本企業は比較的客観的に物事をみて不合理な点を見つけられていると感じます。木を見て森を見ず的なことは少なく、大局観をもって戦況をみながら着実な経営ができるのが日本企業の良さといえます。1)の分からないことをちゃんと分けられるという良さともダブりますが、悪い面がでると、物事を客観的に見極めようとしすぎて慎重になりすぎるという悪い面が出てきます。

4)危機感をもって企業のチャンスに転化すること

日本の優秀な企業は現状に危機感をもっていて、常に次のチャンスに向けて機会をうかがっているという特徴があります。もし自分の今の会社に危機感がなく、今まで通り何とかなるとおもって先送りばかりしているようであればその会社は日本企業の良さを活かしているとはいえないかもしれません。常に劣勢にあるということを自覚して自分たちよりも先を行く人たちを見つめながら自社の変革に向けて真剣に取り組んでいる会社で働きたいものです。

5)身の丈に合った成長を図り事業リスクを直視すること

自分の身の丈を知っているのも優秀な日本企業の良さの一つです。自分の身の丈も知らず夢物語ばかりを語っていては社員はしらけてしまいますし、現実との乖離が大きすぎて誰もその目標を真剣に目指したいと思えなくなってしまいます。日本の優秀な企業は努力をすれば到達できる目標設定がうまく社員の頑張りも引き出せますし、周囲の期待に対して目標を達成するということで自社の良さを証明していきます。オオカミ少年のような会社になっているとしたらそれは危険な状態と言えます

6)世のため人のためという自発性の企業文化を埋め込んでいる事

最近でこそ欧米でも持続可能な社会への貢献ということで環境対策や、株主ばかりではなく色々なステークホルダーを大切にするような動きは出てきましたが、日本企業はもともと社会貢献というのは企業の大切な部分の一つとして考えられてきました。社員や社会、お客さんのさらにお客さんのことも考えてそれらに貢献することがいいことだというのは近代文明の父である渋沢栄一さんも「論語とそろばん」という本で書かれています。金儲けと社会貢献は両立できると考えているのが本来の日本企業の良さですし、それを忘れてしまっているとしたら、その企業は日本企業の中でも残念な部類に入ってしまうということが言えます。

■ 最後に

日本企業の良さ、いかがだったでしょうか。自分が今いる会社はこういった昔から言われている日本企業の良さは持っているでしょうか。今もっていないとしても変わっていけるとしたらその会社に残って頑張ってもいいかもしれません。

もしそういったものが全くないということであれば、それを実現している他の日本企業に転職するか外資系に移ってみるのも手です。

優秀な人が能力を発揮できていない。人は優秀だけど企業がよくないという場合は往々にしてあるものです。人が熱中できる仕事がなかったりするのも会社の責任です。所詮同じ人間ですから対して能力に個人差はありません。そうだとしたら、働く人がいきいき働ける環境を提供している会社かどうかというのは一つの大切な軸として考えなければなりません。

少しでも多くの人が良い会社に巡り合えること、そして少しでも多くの日本企業が良い日本企業として世界に羽ばたけることを祈りながら仕事をしています。

(私の会社も優秀な日本企業とはいいがたい面もあるので頑張っているのですが、なかなか変えていくのは難しいですね・・・)

Keiky.